2008-08-21

イニシエーション・ラブ レビュー

ポスト @ 20:34:56 | 小説

 前回に続き、今回も「評判の割に個人的にはイマイチだった作品」のレビュー。二つ目は、「Jの神話」でメフィスト賞を受賞した、乾くるみの最高傑作と名高い、「イニシエーション・ラブ」を取りあげる。

  <あらすじ>
 とある合コンである出会った女性・マユに一目ぼれした主人公・鈴木。やがて付き合うようになった二人の恋愛話が続くのだが・・・。最後の二行で本書はまったく違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛される傑作ミステリー。(本書から引用)

<感想>
 最初に断っておくと、この作品に対する個人的な評価は非常に低い。もちろん、あらすじで書いてある通り、最後にアっと驚く仕掛けが用意されているのだが、それを知ったときの衝撃度は、この手の手法をとる他のミステリー小説らとは比較にならないほど小さなものである。大風呂敷を広げておきながら、明らかになる真実がひどくたわいもないことであるからだろう。例えるなら、テレビなどで仰天のマジックを見せるマジシャンがその種明かしをするとき、案外くだらない、とるにたらないトリックを使っていて肩透かしを食らう、そんな感じである。  加えて、肝心要の仕掛けが、ちょっとわかりやす過ぎるという点もマイナス要因だろう。もちろん、誰もトリックに気づかないほどわかりにくくする必要などない。ただ、本書に関しては、少しヒントを与えすぎている印象がある。この手の本を多く読んでる人なら、簡単に真相に気づいてしまうのでは、と思えるほどたくさんのヒントが出ている。最後の仕掛けを楽しむため、なるべく仕掛けに気づかないように読んでいる私ですら、薄々気づいてしまうほどのわかりやすさである。それが上記にある衝撃度の少なさにも影響している。  そして何より、この物語はミステリーですらない、ただの恋愛話なのである。まるで、RPGだと思って購入したゲームが、いざプレイしてみると中身がSTGだった、という感じである。殺人がおきることも、謎の怪事件が起こることも、名探偵がでてくることもない。ただ単に、男女の恋愛話を淡々と綴っているのである。期待していたものと違う上に、自分の好みではないジャンルの話だったのだから、評価が辛めになるのも致し方ない。
 ミステリーとしてはまったく評価ができない作品だが、一風変わった恋愛小説としてなら十分評価に値するだろう。「葉桜の季節に〜」と同じく、男性よりも女性向けな作品なので、恋愛小説好きな女性にオススメかもしれない。

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしい すごい とても良い 良い

TREview 人気ブログランキング ブログ王 ブログランキング・にほんブログ村へ


Trackback

No Trackbacks

Track from Your Website

http://solstice.s17.xrea.com/trackback/tb.php?id=123
(言及リンクのないトラックバックは無視されます)