2008-05-13

調教師というものについて

ポスト @ 14:18:56 | 競馬

 かつて、日本の競馬は世界から大きく遅れをとっていた。ジャパンカップという国際招待レースが創設された当時も、日本馬は海外の馬に歯が立たなかった。2頭の三冠馬を擁し、背水の陣で望んだ創設4年目にして、初めて日本馬が勝つことができ(皮肉にも勝ったのは三冠馬の2頭ではなく、伏兵カツラギエースだったが)、いよいよ日本の競走馬レベルも海外に通用するまでに至った、かと思われた。しかし、当時の現役最強馬(日本競馬史上での有数の名馬である)シンボリルドルフの海外遠征初戦は7頭立てで6着という悲惨な成績だった。所詮はホームアドバンテージでの勝利、本当の意味で海外と対等になったわけではなかったのである。

 そして時は流れ、ジャパンカップでも日本の馬が当たり前のように勝つ時代になり、海外遠征が盛んに行われるようになった。世界最高峰のレースといわれる凱旋門賞でも、エルコンドルパサーが2着、ディープインパクトが3位入線(降着処分)と互角に戦えるようにまでなってきた。他にもドバイシーマクラシックではハーツクライが、ドバイデューティーフリーではアドマイヤムーンがそれぞれ優勝、ドバイワールドカップではトゥザヴィクトリーが2着に入るなど、日本馬の活躍が目覚しい。

 これらを見れば、日本の競馬レベルが海外レベルに並んだのは間違いない。だが、私は互角以上なのではないか?と考えている。つまり、日本の馬は海外の馬以上、世界でも1、2を争うほどではないか?ということである。現に、今年のドバイシーマクラシックでは、日本のフジキセキ産駒のサンクラシークが、英1000ギニーでは同じく日本のディヴァインライト産駒のナタゴラがそれぞれ優勝し、日本生産馬の潜在能力の高さを証明している。だが、海外遠征馬が必ずしも結果を残しているわけではない現状、それは言い過ぎではないか?と思う方もいるだろう。そこで私は、馬そのものは世界トップクラスの力を持っている。しかし、騎手・調教師らがその力をフルに発揮させることが出来ていないのである、と考えているのである。

 競馬をやる人が必ずみる競馬新聞、その中には調教師や騎手のコメントなどが載っており、それが予想する時のひとつのファクターとなっている。「休養明けだが中身はできている、初戦から走れるよ」などというものである。だが、競馬をやっている人はわかるだろうが、彼らの言うことはまったくといっていいほどアテにならない。例えば、先ほどのようなコメントを出しておきながら、レースで惨敗すると、「やっぱり休養明けで体が重かったね」などと平気で言い放つのである(無論、これらのコメントは、馬主に配慮してポジティブなことしか言わないものではあるが)。他にもこんなものがある。「前々からダート向きの走りだと思っていた、芝じゃないなら勝ち負けだよ」と言っておきながら、不甲斐無いレースをし、「やはり芝向きだね、ダートはあってない」などと信じられないセリフを並べる(他にもいくつもこのようなセリフ例はあるが、長くなるので割愛する)。    これらを見ていると、自然と「調教師は本当に馬のことをわかっているのだろうか?」と思えてしまうだろう。馬場適性、距離適正、調子の良し悪し、どれも曖昧にしか把握できていないような気がしてならないのである。そしてそういったことが、競走馬の不幸な事故を誘発するのである。今年に入って、重賞クラスの馬が立て続けに亡くなっている。パっと思いつくだけでも、サンアディユ・アドマイヤキッス・トウショウナイト・アストンマーチャン(どれも重賞ウィナー)などが急死している。これらの事故は、本当に不可抗力だったのだろうか?馬のことをもっとよく理解していれば、防げた事故だったのではないだろうか?と思えてしまう。

 日本の調教師がどれほどのレベルなのか、それを確かめるいいサンプル材料となりえるのが、現在アメリカ遠征中のカジノドライブという馬。兄と姉が共にアメリカ三冠レースの一つであるベルモントSを勝っているという文句なしの良血馬で、日本人がセールで落札し、日本で調教され、日本でデビュー。新馬戦を圧倒的な走りで勝利し、2戦目で早くもアメリカへ渡り、ベルモントSの前哨戦となるピーターパンSに出走し、これを圧勝。無敗のケンタッキーダービー馬のビッグブラウンとの対決が早くも注目されている。本番では騎手も日本人の武豊になるようで、完全日本体制でレースに臨むことになる。    アメリカ産で調教師・騎手は日本人、血統的にも能力的にも十分勝負になるだけの力はもっているはず、あとはその力を引き出すだけである。このケースで海外のビッグレースを勝つこと(または僅差の敗北)ができれば、先ほどまで私が考えていたことは杞憂にすぎなかったということになる。だが、もし無様な結果に終われば、その時は先ほどの考えがあながち間違ってもいない、ということにもなりかねない。そういった意味でも、今年のベルモントSは注目に値する。

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